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ベーシカル・コーチング・スクール/阿部 伸二さん

育成を選んだのは、自分で強い馬をつくりたいという思いが強かったからです。

育成担当 阿部 伸二さん

工業高校卒業(福井県出身)
ベーシカル・コーチング・スクール(日高町)勤務

質問1 現在の仕事内容

私が勤務するベーシカル・コーチング・スクールは競走馬育成の専門牧場です。
馬房数は60ありますが、それをアイルランドで騎手経験のある場長と私を含めた2人の厩舎長、それと17人のスタッフで管理しています。
現役馬を休養でお預かりすることもありますが、基本的には1歳秋に預かった馬を全天候型の800メートルの屋内馬場、1200メートルの坂路、ウォーキングマシンなどを使って競馬場へ送り出すまでが自分たちに与えられた仕事になります。
朝は当番が5時で、全スタッフが6時30分から始業です。
私は自分でも騎乗しますが、32頭を預かる厩舎長の立場でもありますので、それぞれの馬の体調チェック、獣医師による診療の立会い、手入などの馬体管理も行ないます。
季節によっても異なりますが、11月はもう人を乗せることを覚えた馬と、これから人を乗せることを覚える馬が混在しています。
騎乗馴致ができるようになった馬も、まだ今時期の1歳馬は骨や靱帯の形成が弱いので、そのあたりをとくに入念にチェックして少しの異常も見逃さないように気をつけています。
移動してきたばかりの馬は落ち着くのを待ってから馴致をスタートさせますが、人を乗せることを覚えるまでだいたい10日くらい時間をかけます。
馬によって反応はさまざまですが、馬が人を乗せることに対して嫌なイメージを持たさないように時間をかけるようにしています。
90分の昼休みをはさんで、午後は体調チェック、馬体の手入れ、馬体チェック、飼葉つくりなどを行なっています。
だいたい夕方5時くらいまでが仕事の時間になります。

質問2 牧場就業を選んだ理由

私は福井県の出身で、北海道に来て11年になります。
競馬といえばゲームくらいで、ほとんど縁のない生活環境でしたが、友人の親に連れて行ってもらった京都競馬場でナリタブライアンが勝った菊花賞を見ることができました。
あれは衝撃的でしたね、あのレースを見てから競馬がますます好きになりました。
それで、高校卒業後、1度は違う業界に就職したのですが、競馬に対する思いを捨てきれずにこの世界に飛び込みました。
育成を選んだのは、自分で強い馬をつくりたいという思いが強かったからです。
馬には触ったこともなかったので、最初は大変でしたけど覚悟を決めてこの世界に入ったわけですし、それを苦労だとは思いませんでした。今も、後悔はしていません。

質問3 仕事で一番嬉しかった事、または醍醐味

ベーシカル・コーチング・スクールにはいろいろな牧場からいろいろな馬がやってきます。
そういった馬たちにイチから調教を施して、そして競走馬として送り出すという過程にすごくやりがいを感じます。
大きなレースに勝ってくれればもちろん嬉しいのですが、それ以上に無事にデビューしてくれることが1番嬉しいです。

質問4 仕事で大変だった事、または失敗エピソード

失敗はたくさんありますよ。ずっと前のことなんですが、自分が乗ったあと脚元に故障を発症してしまった馬がいるんです。
騎乗前の馬体チェックも入念に行い、自分の中では変な乗り方をしたつもりもなかったのですが、そのときはすごくショックでしたし、反省しました。
この業界以外の方からは「早朝の調教とか、深夜の飼い付け、あるいはケガや病気の場合の看病など大変ですね」といわれることもありますが、生き物を相手にしている仕事はそういうものだと考えています。
だから、大変だとは思わないですね。

質問5 仕事をする上で心がけている事

常に考えているのは、馬をよく見るということです。
馬に異常があるときは、1日の最初の動きに出ることが多いので、それを見逃さないようにしようと心がけています。小さな異常を見逃さないことが、大きなケガを未然に防げることだと思っています。
それから、馬の気持ちを理解し、動きを予測することができれば、人馬ともにケガする確率は極端に減ると思っています。そうできるように心がけています。

質問6 仕事上での今後の夢、または目標

例えばGIレースを勝てるような、そんな強い馬をつくりたいという気持ちは常に持っています。
馬の能力そのものを育成によって高めていくというのは難しいと思うのですが、馬が本来持っている能力を引き出すことはできると思っています。
私たちの仕事は最終的なものではありませんが、厩舎に行ったあとでいかにスムーズに調教が進められるかは、私たちが負う部分が大きいと思うんです。
厩舎に行ったあとで、強い調教に耐えられるような馬体づくりをしていきたいです。

私のoffStyle

馬の管理者として、もうワンステップもツーステップも上へ行きたいと考えています

休日の過ごし方
日曜日が休みになりますので、その日は子供と遊んでリフレッシュをします。馬券も好きなので、合い間を見て馬券を楽しんだりもします。
プライベートの夢や目標
今は仕事が楽しいので、まだまだ馬に乗っていたいですね。それから、馬の管理者として、もうワンステップもツーステップも上へ行きたいと考えています。当社の場長は馬を見ているだけで馬のコンディションを把握して、管理ができるんです。そういう技術を身につけたいです。