
生産牧場のある一日
中根 建さん(2007年入社)
下河辺牧場- 生産牧場で働く先輩(中根 建さん)のある一日を時間軸で区切ってご紹介いたします。
朝6時。「おはようございます」の一言で一日がスタート。
下河辺の朝は6時にはじまります。準備などもありますので出勤はその10分前。
早めに朝食を済ませて、寮を出ます。「おはようございます」。そのひと言で一日がスタートします。
まずは夜間放牧をしている1歳馬を馬房に入れます。馬房の中にいるよりも、長時間外に放牧することで運動量は飛躍的に増えるのです。時には厳しい環境となりますが、牧場で生まれてから、競馬場に送り出すまで役2年間。その間は1日足りとも無駄にはできないのです。広い放牧地に離れている馬に頭絡をつけて手綱を引きます。それぞれ担当の馬がいるわけではなく、厩舎長の指示により、どの馬を担当するかが決まります。すべての人間が、すべての馬を扱えるようになること。逆にいえば、だれでも扱えるような馬に育てること。それは生産牧場に与えられた大切な仕事です。放牧地から厩舎までのわずかな時間の中で、馬の息遣いや歩様などをチェック。いつもと違うところがあったら、すぐに報告です。大きな事故を未然に防ぐために細部をチェックします。そして、すべての馬を入れ終えたら朝のミーティングがスタートします。
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「放牧と集牧」。一見何気ない作業ですが、この時間は馬と接する貴重な時間。
ミーティングでは、その日一日の予定が報告されます。
種付けに行く馬、受胎を確認する馬、治療をしなければならない馬。どの馬を誰が担当して、どの仕事をするかを場長から指示をうけます。もちろん、大筋の部分では決まっているのですが、繊細なサラブレッドを扱ううえで不可欠なことは「報告・連絡・相談」。生まれたばかりの当歳馬については、より細やかな報告が必要とされます。
約10分間のミーティングが終わると、今度は放牧。
まだ夜間放牧をする体力のついていない1歳馬や生まれたばかりの当歳馬と母馬を放牧地へと導きます。まずは繁殖牝馬から。母馬と仔馬。ひとりで2頭が基本ですが、ときおり気性の激しい馬や、まだキャリアの浅い新人のためにベテランのスタッフがつくこともあります。
放牧の後は、夜間放牧をしていた繁殖牝馬を馬房へと戻す作業です。
このときも1歳馬同様に、馬の息遣いや歩様をチェックします。この日は、社長がその様子を見に来ました。自分が引いている馬の名前と当歳馬の性別を声に出して社長に報告します。馬は放牧中にケガをすることが多いので、どこか少しでもおかしいなところがあれば、報告です。「放牧と集牧」。一見何気ない作業ですが、この時間は馬と接する貴重な時間です。神経を最大限、馬に向けて異常がないかどうかをチェックします。
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顔をぬれたタオルで拭いてあげると、馬はとても気持ちよさそう。
夜間放牧に出していた馬の状態を厩舎でもチェック。
体温を測り、痛いところがないか、熱をもっていないか。あるいはケガをしていないか体全体を触れます。その結果は、誰もがひと目でわかるように馬房の前においてあるホワイトボードに書き込みます。
また、馬は放牧中に寝転ぶことが多いので、泥を取ってあげることも大切な作業です。体の表面はもちろん、蹄の裏にこびりついた泥や草もとります。最後に顔をぬれたタオルで拭いてあげると、馬はとても気持ちよさそうにします。この作業は、将来、競馬場にいったときに誰でも触れるように、という意味の馴致も兼ねています。この作業をおろそかにすると治療を嫌がったり、あるいは人間に触れられることを嫌がるようになることもあるので、気を抜けない時間です。
放牧に出た馬の馬房を掃除。
排泄物でぬれた部分を捨て、ボロをとり、清潔にします。牧場によっては何度も寝藁を使うところもありますが、当牧場では汚れた寝藁は堆肥に混ぜて再利用します。足りなくなった部分は新しい寝藁を足して補充です。もちろん、厩舎の廊下部分も掃除して来客に備えます。
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仔馬の不安を取り除き、環境に慣れさせてあげることも大切な仕事。
今日は、種付の仕事が入りました。
泥だらけの牝馬をそのままで種付に行くわけにはいかないので、早めに馬房に入れて手入れをします。遊び足りなそうな当歳馬をなだめつつ、ガマンすることを教えます。馬の教育は小さなことの積み重ねです。例えば、競走馬になるためには馬運車に乗ることも教えなければなりません。種付に行くということは、仔馬にそういうことを教えるよい機会なのです。そして、種付所では初めての場所、初めての環境、初めて接する多くの馬がいます。仔馬の不安を取り除き、環境に慣れさせてあげることも大切な仕事なのです。午後の種付当番は昼休み返上ですが、当牧場は、その分はしっかりと手当てという形で補充されます。そして、種付から帰ってくると、今度はせり上場馬の馴致です。正しい姿勢で立てるように。まっすぐ歩けるように。簡単なようで、実はこれが大変なのです。まずは、馬とのコミュニケーションをとるために引き運動を行ないます。だらだら歩くのではなく、歩くことでしかつかない筋肉をつけるという意味もあります。この日は、ちょうど来客があり、急いで手入れをして見ていただきます。そしてそれが終わると、再び放牧と集牧の作業になります。
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一日の最後は、必ずみんなで顔をあわせその日の報告をする。
夜間放牧をする馬を放牧し、夜間放牧をしない馬たちを馬房に入れます。
放牧中にケガをしていないかをチェックします。ここでのケガや異常を見落とすと、のちのち取り返しのつかないことになりかねません。とくに夜間放牧が出来ない馬は、どこかに弱いところをもっている馬たちなので、より慎重に行ないます。放牧地から馬房に戻るまでの間に歩様をチェック。1頭づつ手入れをしながら、異常がないかチェックします。夜間放牧を行なう馬の馬房を掃除します。同じように汚れた寝藁を取替え、馬が帰ってきたときに気持ちよく過ごせるようにします。種付、出産シーズンの最盛期は夜間に種付へ行くこともありますが、今日は昼の種付だけで終礼です。一日の最後は、必ずみんなで顔をあわせてその日の報告をします。また、このときに翌日の予定などが言い渡されます。
17時ごろ、ひととおりの仕事が終わりました。
風呂に入ったら、愛車「ベンリー」で近所までお買い物。バイクは趣味であると同時に、広大な北海道での大切な移動手段です。一番近くのコンビニまで歩いたら、20~30分はかかります。休日にはベンリーでツーリングをすることもあります。放牧中の馬を驚かせないように、細心の注意を払いながら、初夏の北海道産地を満喫すると、また仕事への意欲もわいてくるのです。
































